お気に入りの絵を見つけたとき、
「この絵を、家のどこに飾ろう?」
と考える時間も、アートを暮らしに迎える楽しみのひとつです。
リビングの広い壁。 玄関の小さなスペース。 一日の終わりを過ごす寝室。 仕事や読書をするデスクのそば。
同じ家の中でも、場所によってアートの見え方はずいぶん違います。
それは、壁の広さやインテリアが違うからだけではありません。
私たちがその場所で絵を見る「距離」と「時間」が違うからです。
ソファから少し離れて眺める絵と、デスクの横で間近に見る絵では、作品を選ぶ視点も変わってきます。
今回は「この部屋にはこの色」と決めるのではなく、その場所でアートとどんなふうに過ごしたいか という視点から、抽象画の飾り方を考えてみたいと思います。
絵を飾る場所を決める前に、「どこから見る?」を考える
アートを飾るときには、壁の色や家具との相性、作品のサイズなどに目が向きがちです。
もちろん、それらも大切です。
でも、その前に一つだけ考えてみてください。
その絵を、普段どこから見るでしょうか。
リビングなら、ソファに座って数メートル離れたところから。
玄関なら、出かけるときや帰宅したときのほんの数秒。
寝室なら、一日の終わりや朝目覚めたとき。
デスクなら、仕事や読書の合間に何度も。
見る距離も、時間も、そのときの気分も違います。
そう考えると、「リビングにはこの色」「寝室にはこの色」というルールだけではない、自分らしいアートの選び方が見えてきます。
1.リビング|少し離れても印象が残る作品を
リビングでは、作品を間近から見るより、ソファやダイニングなど少し離れた場所から眺めることが多くなります。
そこで取り入れやすいのが、離れて見ても画面全体の動きや色の構成を感じられる作品 です。
Indigo Twilight Waves (100)
深いブルーを中心に、赤、紫、白が幾層にも重なり、横方向へ流れていくような作品です。
近くでは細かな色の重なりや絵具の動きを楽しめますが、離れて眺めると、画面全体を横切る大きなリズムが現れます。
こうした作品は、ソファの向かいやリビングの壁など、少し距離を取って眺められる場所にもよく映えます。
おすすめの額装: 白いマットに、黒またはダーク系の細いフレーム。広い壁に飾る場合は、アートプリントでサイズを大きくするのもおすすめです。
「原画が小さい=リビングに飾れない」ではありません
Etoupe Abstractsの小さなアクリル原画の多くは、約152×102mmです。
広いリビングでは、そのまま飾ると小さく感じることもあります。
そんなときには、大きめのマットを使って余白を生かした額装にしたり、同じ作品のアートプリントを選んだりする方法があります。
大切なのは作品そのものの大きさだけではなく、
壁の中で、どのくらいの存在感を持たせたいか
という視点です。
2.玄関|短い時間でも印象に残る一枚を
玄関は、リビングとはまったく違う場所です。
長時間座って絵を見ることはありません。
出かけるとき。 帰宅したとき。 靴を履くとき。 来客を迎えるとき。
ほんの短い時間ですが、一日に何度も目に入ります。
だからこそ、玄関には一目見たときに色や光の印象が残る作品 を飾るのも楽しいと思います。
Turquoise Golden Veil (101)
ターコイズを基調に、白とゴールドが横方向へ重なる作品です。
涼やかな色の中にゴールドの光が入り、落ち着きと華やかさの両方があります。
玄関に飾れば、外から家へ戻ったときに視線を受け止めてくれる、小さなアクセントになりそうです。
おすすめの額装: 白、ナチュラルウッド、または明るいシルバー系。作品にゴールドが入っているため、額まで強いゴールドにするより、少し控えめな色で作品そのものを引き立てるのがおすすめです。
玄関は、小さな原画を楽しみやすい場所
約152×102mmの原画は、玄関のような限られたスペースでは、そのコンパクトさがむしろ魅力になります。
壁に掛けるだけでなく、シューズボックスやコンソールの上に、小さな額やイーゼルを使って置くこともできます。
そして、小さな作品なら季節に合わせて交換するのも気軽です。
春には柔らかな色。 夏にはブルーやターコイズ。 秋にはブラウンやゴールド。 冬には白や深い色。
玄関を、季節とともに少しずつ表情を変える小さなギャラリー にしてみるのも素敵です。
3.寝室|「眠れる色」ではなく、自分が静かになれる作品を
寝室にはブルーやグリーンなど、落ち着いた色がよいと言われることがあります。
けれど、アートまで必ずそのルールに合わせる必要はないと思います。
寝室で大切なのは、
一日の終わりに、自分が見たいと思える作品かどうか。
その一つの例として、静かな水平の構成を持つ作品があります。
Lapis Horizon (218)
淡い空のような上部と、深いブルーが広がる下部。
画面を大きく二つに分ける水平の構成が、遠くの水平線を眺めているような静けさを感じさせます。
細かな情報で画面を埋め尽くすのではなく、広い色面をゆっくり眺められる作品なので、一日の終わりを過ごす空間にも合わせやすい一枚です。
おすすめの額装: 白またはナチュラルウッド。作品の周囲に広めの余白を取ると、水平の広がりがより引き立ちます。
もちろん、寝室だから青でなければならないわけではありません。
温かなピンクに安心する人もいれば、深い色に包まれる方が落ち着く人もいます。
来客に見せるためではなく、自分自身のために選べる のも、寝室にアートを飾る面白さです。
ベッドの真上だけが飾り場所ではありません
寝室のアートというと、ベッドのヘッドボードの上を思い浮かべるかもしれません。
でも、ベッドから見える向かいの壁、チェストの上、ドレッサーのそば、朝目覚めたときに自然と目に入る場所も候補になります。
なお、ベッドの頭上に額装作品を設置する場合は、見た目だけでなく、重量や固定方法など安全面にも十分配慮しましょう。
4.デスク|小さな原画を「近くから見る」
リビングとは反対に、作品との距離がとても近くなるのがデスクです。
ここでは、大きさよりも、
近づいたときに何が見えるか
が作品選びの面白さになります。
Marble Aurora Whisper (059)
白を基調に、ラベンダー、ピンク、ブルー、わずかなゴールドなどが複雑に混ざり合っています。
少し離れると柔らかな色のまとまりとして見えますが、近づくと、一つ一つの色の境界や絵具が動いた跡が見えてきます。
仕事や読書の途中で何度も視線を戻すデスクなら、こうした細部の変化を楽しめます。
おすすめの額装: 白い額+広めのマット。原画の小ささを生かして、卓上イーゼルや小さなスタンドに置く方法もおすすめです。
PCモニターの横、本棚の一角、デスクの奥。
アートは、必ずしも大きな壁がなければ楽しめないものではありません。
そしてデスクのアートは、人に見せるためではなく、
自分の視線を少し休ませるための場所
にあってもよいと思います。
5.廊下や階段|「通りながら見る」アート
家の中には、長く滞在しないけれど、一日に何度も通る場所があります。
廊下や階段です。
こうした場所では、作品をじっくり正面から見るというより、歩きながら視界に入れることになります。
そこで面白いのが、リズムを感じさせる作品です。
Jade Malachite Eddies (171)
グリーン、白、深い青緑が渦を描くように繰り返される作品です。
丸みを帯びた形が画面の中で次々と現れるため、視線を一か所に止めるというより、画面の中を移動させながら楽しめます。
おすすめの額装: ナチュラルウッド、白、または細い黒のフレーム。廊下に複数作品を並べる場合にも合わせやすい額装です。
廊下では、一枚だけでなく、小さな作品をいくつか並べる方法もあります。
同じ色調でそろえる。 あえて違う色を並べる。 季節によって一枚だけ交換する。
壁を完成された展示場所にするのではなく、少しずつ変わっていく場所にするのも、家でアートを楽しむ方法のひとつです。
6.「部屋に合う絵」を探すだけでなく、「絵に合う場所」を探す
アートを選ぶとき、
「リビングに合う絵を探そう」
「玄関に飾れる作品が欲しい」
と、場所を先に決めることが多いと思います。
でも、とても好きな作品に出会ったなら、逆に考えてみてもいいのではないでしょうか。
「この絵を一番楽しめる場所は、家のどこだろう?」
先に作品を選び、あとから居場所を探すのです。
家具には用途があります。
ベッドは寝室に置きますし、ダイニングテーブルには食事という目的があります。
けれど、アートにはそうした決まりがほとんどありません。
だからこそ、暮らしに合わせて自由に居場所を作ることができます。
7.絵を飾る高さは、数字より「普段の目線」で考える
アートを飾る高さを調べると、「床から○cm」といった目安を目にすることがあります。
もちろん参考にはなりますが、家庭では、その数字だけで決めなくてもよいと思います。
リビングでは、立っているときよりソファに座って見る時間が長いかもしれません。
デスクでは椅子に座っています。
玄関では立った状態で見ます。
廊下では歩きながら見ます。
つまり、場所によって普段の目線の高さそのものが違います。
おすすめなのは、作品や額と同じ大きさの紙を用意して、壁に仮止めしてみること。
そして、いつもその部屋で過ごしている場所から眺めてみます。
数センチ上下するだけでも、意外なほど印象が変わります。
8.額装も「作品だけ」ではなく、飾る場所と一緒に考える
額を選ぶときも、作品の色だけを見る必要はありません。
リビングなら、家具の木の色とフレームを合わせる。
玄関なら、細いフレームで小さな作品を引き締める。
寝室なら、白やナチュラルウッドで柔らかく。
デスクなら、小さな原画を広いマットで囲み、余白ごと楽しむ。
同じ作品でも、額装によって印象は大きく変わります。
作品 → 額 → 壁 → 家具
まで一つの風景として考えると、アートをインテリアに取り入れやすくなります。
まとめ|「どこに飾るべき?」より「どこで見たい?」
リビングには大きな絵。
玄関には明るい絵。
寝室には静かな絵。
そうした定番の考え方は、作品選びのヒントにはなります。
でも、それがすべてではありません。
玄関に深いブルーを飾ってもいい。
寝室に鮮やかな色を置いてもいい。
広いリビングの壁に、あえて小さな原画を余白たっぷりに飾ってもいい。
朝、目に入る一枚。
帰宅したときに迎えてくれる一枚。
仕事の途中で、ふと視線を向ける一枚。
家族と過ごしながら、少し離れたところから眺める一枚。
同じアートでも、置かれる場所によって、私たちとの関係は変わっていきます。
だから、
「この絵はどこに飾るべき?」
と考えるだけではなく、
「私は、この絵をどこで見たい?」
と考えてみてください。
そこが、その作品にとって一番心地よい居場所になるのかもしれません。
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