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抽象画の見方に正解はある?|「何に見える?」から始めるアートの楽しみ方

#アクリル画#アートの見方#抽象画 楽しみ方#抽象画 見方#抽象画とは#現代アート

抽象画を見ていると、

「これは何を描いた絵なんだろう?」

と思うことはありませんか。

青い画面を見て「夜の街みたい」と思ったり、複雑な線を見て「植物のよう」と感じたり。

でも、そのあとで、

「作者はそんなつもりで描いていないかもしれない」

「見方を間違えているのでは?」

と少し不安になることもあるかもしれません。

けれど、抽象画を見るとき、必ずしも作者と同じものを見る必要はないと私は思います。

作品の前に立ったときに何が目に入り、何を連想し、どんな記憶が呼び起こされるのか。

そこから始めてみると、抽象画はずっと身近なものになります。

今回はEtoupe Abstractsの6作品を見ながら、「何に見える?」を入口に抽象画を楽しむ方法を考えてみます。

まずは作品名を見ないで、絵だけを見る

美術館でもオンラインでも、私たちは作品を見ると同時にタイトルを読むことが多いものです。

でも、ときには順番を逆にしてみるのも面白いです。

まず作品だけを見る。

そして、自分に問いかけます。

「何に見える?」

具体的なものが浮かばなくても構いません。

「暗い」

「速そう」

「静か」

「冷たい感じ」

「どこかで見た景色みたい」

それだけでも十分です。

そのあとで作品名を見ると、自分が最初に感じたものとタイトルとの間に、思いがけない違いが見つかることがあります。

Indigo Vortex (008) ― この青の中に何がある?

深いインディゴと青の層や曲線が広がる抽象画 Indigo Vortex (008) の額装イメージ
Indigo Vortex (008) 

Indigo Vortex (008) は、深いブルーやインディゴを中心とした作品です。

画面にはいくつもの層があり、直線的な部分もあれば、長く流れる曲線もあります。ところどころに明るい色が浮かんでいます。

さて、何に見えるでしょう。

夜の都市。

深い海。

暗い空。

雨。

地図。

あるいは、何かの生き物。

もちろん、まったく別のものに見えても構いません。

ここで大切なのは、

「正解を当てよう」としないこと。

最初に自分の目がどこへ向かったのかを、少し観察してみます。

私はここを見る。

でも別の人は、まったく違う場所を最初に見るかもしれない。

その違いも作品を見る面白さです。

Rust Reliquary (001) ― 風景に見えたら、それでいい?

深いインディゴと青の層や曲線が広がる抽象画 Indigo Vortex (008) の額装イメージ
Rust Reliquary (001) 

Rust Reliquary (001) には、赤褐色や錆色を思わせる色が広がっています。

横方向に伸びる線や、縦に並ぶ暗い形もあります。

この作品を見て、風景を思い浮かべる人もいるでしょう。

遠くの山。

森。

荒野。

古い遺跡。

しかし、「これは風景画なのか」という問いに答えを出さなくてもいいのです。

抽象画には、完全に具体的な形を描いていなくても、私たちが知っている風景と似た構造が現れることがあります。

横線を見ると地平線を思い出す。

縦の形を見ると木を思い出す。

それは、見る側がこれまでに見てきたものを使って絵を見ているからかもしれません。

つまり、作品だけではなく、自分自身の記憶も一緒に見ているとも考えられます。

Autumn Citadel (009) ― 形を探すより、動きを追ってみる

黄金色の並木道と緑を描いた秋の風景画 Autumn Citadel (009) の額装イメージ
Autumn Citadel (009)

次は Autumn Citadel (009)

オレンジ、黄、黒、白などが重なり、細い線と大きな形が画面の中を走っています。

このような作品では、「何の形?」と探すだけでなく、

線を目で追ってみる

という見方もできます。

左から右へ。

下から上へ。

一本の線を見つけて、その先を追ってみる。

途中で別の線に目が移っても構いません。

抽象画は静止しています。

それなのに、視線が画面の中を動くことで、作品そのものが動いているように感じられることがあります。

何かに見立てなくても、

「この線が好き」

「ここからここへの動きが面白い」

という見方ができるのです。

Verdant Currents of Eternal Whisper (019) ― 色だけから想像してみる

Verdant Currents of Eternal Whisper (019) 

Verdant Currents of Eternal Whisper (019) では、白や淡い青緑、グレー、黄色やゴールド系の色が横方向に重なっています。

先ほどの作品とは、ずいぶん印象が違います。

水。

風。

光。

空。

遠い風景。

何を思い浮かべるでしょう。

ここでは、形を探す前に色から連想するものを考えてみても面白いでしょう。

同じ青緑を見ても、海を思い出す人もいれば、ガラスや鉱石を思い出す人もいます。

黄色を太陽と感じる人もいれば、花を思い出す人もいる。

色そのものには一つの答えがありません。

自分がその色と結びつけている記憶によって、見える世界が変わります。

Chaos in Calico (038) ― 「分からない」をそのまま楽しむ

Chaos in Calico (038) 

Chaos in Calico (038) は、これまでの作品とはまた違います。

白やグレーを中心に、黒、赤褐色、ゴールドなどの大きな形が点在しています。

「何に見える?」

と聞かれても、すぐには答えが浮かばないかもしれません。

でも、それでいいのです。

抽象画を見るとき、

「分からない」も立派な第一印象です。

分からないから、もう少し見る。

すると、白い部分の厚みが気になってくる。

黒い形の配置が気になってくる。

赤褐色と金色の関係が見えてくる。

最初から意味を理解しようとしなくても、目に引っかかったものを一つずつ見ていけばいいのです。

「これは○○を表しています」という説明を読んで終わるより、自分で見つけた小さな発見の方が記憶に残ることもあります。

Burgundy Tempest (033) ― 同じ形が、人によって違って見える

Burgundy Tempest (033)

最後は Burgundy Tempest (033)

バーガンディや赤、白、グレーが大きく流れ、ところどころにゴールドが見えます。

左側の大きな形を見てみてください。

花に見えるでしょうか。

布が翻っているように見えるでしょうか。

炎。

波。

生き物。

あるいは、何にも見えないかもしれません。

ここに抽象画の面白いところがあります。

同じ絵を見ているのに、見えているものが同じとは限らない。

そして、そのどちらかが間違いというわけでもありません。

作品名は「答え」ではなく、もう一つの入口

ここまで、できるだけ作品そのものを先に見る方法を考えてきました。

では、作品名は必要ないのでしょうか。

私はそうは思いません。

作品名を見ると、また別の見方が始まります。

たとえば、

Indigo Vortex

Vortexという言葉を知ったあとでは、最初に見えなかった「渦」のような動きを探したくなるかもしれません。

Autumn Citadel

Citadelという言葉から、画面の中に建築物や都市のようなものを探す人もいるでしょう。

Burgundy Tempest

Tempestを知ると、色や形の激しい動きがそれまでとは違って見えるかもしれません。

タイトルは、

「この絵はこう見なければならない」

という命令ではありません。

作者から渡される、もう一つのヒント。

そのくらいに考えてみると楽です。

抽象画を見る5つの入口

「何に見える?」だけでも十分ですが、何も浮かばないときには別の入口があります。

色を見る。

最初に目に入った色は何色でしょう。

線を見る。

直線が多いか、曲線が多いか。どこへ向かっているでしょう。

質感を見る。

絵具が厚いところ、薄いところ、キャンバス地が見えるところがあります。

余白を見る。

何もないように見える場所はどこでしょう。

自分の視線を見る。

最初にどこを見て、次にどこへ目が移ったでしょう。

全部やる必要はありません。

その日の気分で一つだけ選べば十分です。

作者と違うものが見えてもいい

これは、私自身の作品についてもそう思っています。

作品にはタイトルがあります。

制作するときに考えていたこともあります。

でも、作品が完成して誰かの目に触れたあとまで、

「こう見てください」

と決めてしまう必要はないと思っています。

私がある風景や感覚を思い浮かべていたとしても、見る人が全く違うものを見つけるかもしれません。

そして、その人自身の経験や記憶と作品がつながったのなら、それもその作品との出会い方です。

むしろ、

「私にはこう見える」

と感じてもらえることは、抽象画の面白さの一つではないでしょうか。

「分からない」から始めていい

抽象画は難しい。

何を描いているのか分からない。

どう見ればいいのか分からない。

そう感じることがあるかもしれません。

でも、「分からないから見られない」のではなく、

分からないところから見ることができる

のが抽象画なのだと思います。

何に見える?

どの色が好き?

どこが気になる?

この線はどこへ行く?

タイトルを読んだら印象が変わった?

それだけで、もう作品との対話は始まっています。

正解を探すより、自分の「気になる」を探す

アートを見るとき、知識があることはもちろん楽しいことです。

技法や美術史を知れば、それまで見えなかったものが見えることもあります。

でも、それはアートを楽しむための入場券ではありません。

まず一枚の絵を見る。

そして、

「なぜかここが好き」

「これは何だろう?」

「この色が気になる」

と思う。

そこからでいいのです。

抽象画の前で正解を探すのではなく、

自分の目が何を見つけるのかを楽しむ。

次に抽象画を見る機会があったら、作品名を読む前に一度だけ、自分に聞いてみてください。

「私には、何に見える?」

その答えは、隣にいる人とは違うかもしれません。

そして、おそらくそこが面白いところです。


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この記事の著者

Minako Yamaoka-Tojo (Etoupe Abstracts)

東條美奈子。1969年生まれ、循環器病専門医。日々の気持ちの揺らぎや自然のエッセンスを表現した癒しのアクリル抽象画を描いています。医療・研究・教育の場で30年以上にわたって培われた様々な経験から、アートを通じた心のつながりを大切にしています。皆様がほっとひと息つける時間をお届けします。
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Born in 1969, she is a cardiologist specializing in preventive cardiovascular medicine. Through her miniature acrylic abstract paintings, she expresses the subtle emotions of everyday life and the quiet essence of nature.
Drawing on more than 30 years of experience in clinical practice, research, and medical education, she creates art that fosters deep connections of the heart. Her greatest wish is to offer you a gentle moment of respite — a peaceful breath for your soul.

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Sattchi Art: https://www.saatchiart.com/etoupeabstracts
Artgene: https://www.artgene.net/etoupe/
BASE shop: https://etoupe2025.base.shop
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Researchmap: https://researchmap.jp/read0073726
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